幸子(昭和45年7月生まれ)さんは、母良子さん(昭和15年6月生まれ)のように、育児が一段落したので仕事を再開しており、将来は母良子さんのような旅行三昧のハッピーリタイアメントを夢見ています。
もし、幸子さんが母良子さんと同じ人生を歩んだとしたら、同じような年金が受け取れるのでしょうか。
検証してみましょう。
良子さんの受給中の年金…老齢厚生年金(160か月)と遺族厚生年金と満額の老齢基礎年金
生年月日に応じた経過的措置のある年金制度
■1■ まず、大きな違いは、年金の受取開始年齢です。
母良子さんは、60歳から160か月分の厚生年金が受給できました。
仮に年額60万円だとすると、65歳までの5年間の総額は、300万円。
しかし、幸子さんが老齢厚生年金を受給できるのは65歳から。
60歳からの5年分の年金はありません。
■2■ さらに、それぞれの配偶者(夫)が20年以上厚生年金に加入し、受け取る年金額も同じだ
ったと仮定。
65歳になれば、妻も老齢基礎年金を受給できますが、
母良子さんの場合は、振替加算額(140,636円)の加算された老齢基礎年金が受給できたの
に対し、娘の幸子さんには振替加算額の加算はありません。
これは生年月日による経過措置で本人はどうすることもできませんが、仮に65歳から30年
振替加算額を受給できれば、その差は約422万円にもなります。
■3■ また、厚生年金に20年以上加入していた夫が亡くなった場合には、遺族厚生年金の範囲内
で、妻自身の老齢厚生年金とその差額を遺族厚生年金として受け取れます。
母良子さんの場合は、遺族厚生年金に上乗せし、経過的寡婦加算額(304,751円)も併せ
て受給できるので、仮に80歳から15年間これを遺族厚生年金に上乗せして受け取れたとす
ると、450万円余りになります。
だから、自助努力が必要!
このように、生年月日によって、
老齢年金が受け取れる年齢、老齢基礎年金と遺族厚生年金の加算のあるなしが異なるので、これらを比較するだけでも、優に1000万円を超える差になってきます。
ここでは触れませんでしたが、
少子高齢化の著しい進捗等のために、厚生年金の計算に使用する乗率や再評価の見直しが続いており、少しずつですが、年金の実質的価値が下がる傾向にあります。
だからこそ、備えあれば憂いなし!
厳しい時代を笑顔で心穏やかに暮らしていくためには、このような現実をしっかり受け止めて自助努力を継続していくことが何よりも大切なのです。